Forever ELEGA
ヘッドホンあれこれ-12
ELEGA 旧式 DR-531の修理
DR−531のスタートは戦後間もない1953年(昭和28年)ですが、その貴重な旧設計のDR−531C(発音体交換がされていないとするならば、ステレオ仕様10Ω、旧型最後の1964年製)を入手しました。あるインターネットオークションに完全ジャンクとして出品されていたものです。無論、当社にも旧設計のこれはカタログと図面のみ。現物はありませんでした。
「両耳型」DR−531の新旧の違いはヘッドバンドです。このヘッドバンドは1953年以前のマグネチックレシーバ、TR−31などにも共通して使用されている藤木電器初期のもので、DR−531A、B、Cもこれを使用、すなわちDR−531のA、B、C各タイプはこのデザインからスタ−トしています。1964年のDR−631の登場に合わせ、DR−531のヘッドバンドも「完全互換」で、DR−631と同じ新しいものにされました。従って「保守用旧型ヘッドバンド」は用意されず、このヘッドバンドはこのときに完全廃止されました。実際、TR−31などの修理対応も1964年以降、新しいヘッドバンドを用いて実施されています。何せまだ消耗品設計のヘッドバンドです。(永久部品設計となったのは新しいヘッドバンドからです。)このことから完全廃止となって半世紀以上にもなる今日、このヘッドバンドのDR−531を見ることはまずありません。ずばり放送博物館行きのレベルのものです。
従って今回の修理は「保存」を考えるものになります。DR−531のような後年まで改良が加えられて使われ続けた、今も使われている産業用機器の場合、保存の考え方は大きくふたつに分かれ、修理方法が全く変わります。すなわちそれが機能していない場合、現状と製造当時のデザインを優先、故障、劣化箇所はそのままとして、欠損している製造当時の部品だけ別途入手あるいは復元製作、最小限の修理として静態保存とするか、それとも故障箇所はもちろん、設計上の弱点までも徹底的になおして使えるようにする=動態保存とするかです。入手したこの機体、発音体故障で使い物になりません。しかしヘッドバンドの金物だけは完全な状態で「使えそう」です。ぎりぎりの判断になりましたが「動態保存」を選択しました。
けれども動態とするためには、今回、ヘッドバンドの金物以外、全て新規の大修理になります。新しいヘッドバンドはモノラル用、ステレオ用で構造が違いますが、旧型は共通です。そこで今回、これはC型(ステレオ)汎用機(店頭販売品)ですが、せっかくですから別途保管している部品を使い、初期のいわばDR−531の原点・最高峰であった「測定機用 10kΩ DR−531A」(モノラル)として修理することにしました。これは幻の中でもさらに幻のヘッドホンとしての保存になります。また他の確認した2機体、1機が10Ωのステレオで動態、もう1機がステレオ600Ωで既に静態保存されていることから、これ以外のものとして保存することも目的としました。

全分解、紙のように脆くなってしまっている古いヘッドバンドの革を外した後、ヘッドバンド各部の錆を慎重に落として詳細検査、結果、機械的な問題は発見されず、継続使用可能と判断できました。ここからヘッドバンドの革を当時のままに新規製作、装着です。しかしこの当時のヘッドバンドはまだ耐蝕性に劣っており、金属部品の電蝕が問題です。長期保存のためには何らかの対策が必要です。そこで外したリベット4本を新しいアルミニウム合金製のものとし、また意図的にそうしたことがはっきりわかるものとしました。こうしておけば後にいよいよ静態保存とするときにリベットを抜き、よりオリジナルに近いものとすることもできます。ここは後世の技術者の判断にお任せになります。

DR−531/631両耳型ヘッドバンドの革がボロボロになってお悩みの方は以下にご相談下さい。新規製作できます。ただし交換はご自分、自己責任で実施下さい。R側のリベット4本を抜くと交換できます。
革研究所広島店さま
DR−531/631のイヤパッドがボロボロになってお悩みの方は以下のぺ−ジをご覧下されば幸いです。ご自分で製作・交換できます。ただし製作・交換はご自分、自己責任で実施下さい。
ELEGA DR-531/631用イヤパッドの検討
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