ヘッドホンあれこれ-14
 エレガ DR−531C/631C用アンプ  
ダイナミック型ヘッドホンも「インピーダンス整合」しないと「きれいに」鳴りません。
ヘッドホンの定格表には「再生周波数帯域」が示されています。今はもう概ねどのヘッドホンでも最低限の性能として「20(Hz)〜20(kHz)」と示されていると思いますが、これはヒトが聴くことができるとして今日、国際的に規定されている音波の範囲です。そして「インピーダンス」という言葉も示してあります。
この「インピーダンス」が、コイル、すなわち永久磁石と電磁石を用いて音を作りだしているダイナミック型ヘッドホンでは「意味深」です。
ダイナミック型ヘッドホンの場合、インピーダンスは大雑把に√R+(2πfL)(Rはコイルの直流抵抗値、fは周波数、Lはコイルのインダクタンス)の式で示されますから、例えばインピーダンス=10(Ω)と書かれている場合で、テスターで測ったコイルの直流抵抗値が5(Ω)だとすると、(2πfL)=(10)−(5)、定格表のヘッドホンのインピーダンスは普通(IEC規定)、1(kHz)のときの値を示していますから、ここにf=1(kHz)と代入して、Lは約1.4(mH)と求められます。
そして20(Hz)のときのインピーダンスを求めてみると√5+(2×3.14×20×1.4×10−3ですから、大体、√25.005、ということは、もうインピーダンスはテスターで測った直流抵抗値、5(Ω)と同じとみなせます。
ところが20(kHz)のときのインピーダンスは√5+(2×3.14×20×10×1.4×10−3ですから、大体、√30945、ということは大体、176(Ω)、インピーダンスは1(kHz)のときの17.6(倍)、20(Hz)のときと比べると35(倍)になります。
インピーダンスとは交流の抵抗のことで、ダイナミック型ヘッドホンの場合、周波数が高くなればなるほど大きくなり、電流は流れにくくなります。振動板を動かす力は電流に比例しますから、例えば上の場合、20(Hz)のときと20(kHz)のときとでは35(倍)もの差になり、高い音が小さくなってしまうということになります。
この厄介の原因はインダクタンス、すなわちコイルを流れる電流の変化が誘導起電力となって現れる性質で、このことからインダクタンスのことを誘導係数などとも呼びますが、この誘導起電力は逆方向、交流の音声電流に追従して変化、音声電流を阻止します。
このため実際のヘッドホンのドライブユニットでは、高い音でもしっかり振動板が振動する=同じ大きさの音が得られるようにしてありますが、それはアンプの出力インピーダンスが例えば上の場合、1(kHz)のときに10(Ω)である=ヘッドホンのインピーダンスと同じ、また周波数と電流の関係グラフ、そのカーブがほぼ同じであることを前提とした電気、機械的な対策であり、アンプの出力インピーダンスとヘッドホンのインピーダンスが違うと、そうはいかなくなり、定格の音が得られなくなります。インダクタンスはコイルの巻数が多いほど大きくなりますので、ハイ・インピーダンス、すなわちインダクタンスの大きなヘッドホンほど、上下周波数でのインピーダンス差が大きくなり、アンプの出力インピーダンスとのずれに弱く、音が変わりやすくなります。
ダイナミック型受話器の発明が画期的であったのは、それまでのマグネチック型と異なり、コイルを振動板に直接取りつけ、強力な永久磁石の力を借りてコイルの運動をそのまま振動板の動きとする、すなわちコイルの巻数を大幅に減らすことによってインピーダンスを下げ、大きな音声電流を流すことができるようになった、これで大音量のスピーカも作ることができるようになったことにありますが、そうは言ってもコイルを永久磁石、すなわち磁性体と離すことはできず、やはり数十倍のインピーダンス差はどうしても出るため、例えばスピーカでは、20(Hz)〜20(kHz)の再生周波数帯を2つあるいは3つに分け、それぞれコイルのインダクタンスの異なるスピーカで再生することにより、全体としてインピーダンスの変動域を小さくするといったことがされます。
なおインピーダンス整合については、正しくは共振現象で説明しないといけませんが、これをはじめると共振の鋭さ云々まで、ただでさえ退屈で長いウンチクだらけの私の文面がさらに長くなってしまうだけですので、ここでは大雑把な上述までとします。
〜 8Ω DR−531C/631C 用マッチングアンプ(不平衡入力−不平衡出力) 〜

そもそも「ど」が付くほどにフラットな再生特性としてあるエレガの業務用ヘッドホンのドライブユニット、当然、インピーダンスにシビアで、きちんと合わせないときれいに鳴らないDR−531/631は当初から「インピーダンス変換トランス内蔵型設計」、接続機器にあわせての入力インピーダンス指定製作、そのため昔は「使いまわし」など、どうしても難しい場合にだけ外部トランス(マッチングトランス)を加え、インピーダンス整合させて使っていました。

今は便利なローノイズオペアンプがありますから、これを用い、インピーダンス整合させて使うことができます。しかし「いちいち電源が必要」という点で、昔よりも不便になってしまいました。写真のものは民生、不平衡LINEに整合させるために作った現行機用、8(Ω)出力のアンプです。

規格統一され、再生機器のモニター出力インピーダンスが数Ωになって以降、DR−531/631は基本的に内蔵トランス無しの8(Ω)不平衡型、ハイ・インピーダンスの平衡型モデルは作られなくなりましたから、まあこれでOKです。といいますか、何と言ってもDR−531/631の良さはその高い効率、8(Ω)機だと今のCD再生機、パソコン、音声調整卓などなど、機器のモニター出力に直結、十分な音量が得られますからヘッドホンアンプを使うことはまれ。よって「そこそこのもの」があれば十分です。

設計図は私のアタマの中。おまけに電源トランスとコード、ヒューズホルダ、ユニバーサル基板以外、ケースまで全て壊れた古い家電製品から部品を取り外して作っています。寄せ集めのため、お世辞にも格好の良いものとは言えませんが、まあそれでもせっかく作るならば1(mm)でも小さく1(g)でも軽くで、蓄えてきたノウハウを投入、このサイズでも普通に(S/Nがイマイチですが、拾いモノのガラクタ部品でこれ以上を求めるのは無理ですし、どうしてもこれ以上となれば、いくらでもある市販の汎用アンプの中から気に入ったものを選べばよい。8(Ω)機の場合、例えばS/Nは70(dB)あれば実用上十分。ちなみにこれは64(dB)ですから「ちょっと足らない」といったところです。)DR−531C/631Cをドライブするのに十分な性能としました。

近年はアマチュア無線をはじめとし、電気・電子回路に興味を持つ方が激減していることから、こういったちょっとした工作に必要なディスクリートパーツの取扱店も激減、いちいちインターネットで通信販売会社を探し、部品を探しで、時間もお金もかかり大変です。この程度のものであれば、壊れた家電製品から部品を外して使うほうが早くなってしまっていたりもします。物資のない戦後じゃあるまいし、何でこうなってしまったのだろう、「技術は人」、このままでは日本のモノ作りは物資ではなく、技術伝承の断絶で壊滅すると、正直、嫌になってしまうことがあります。当社の製品に使っている部品もこの10年でどんどん国産品がなくなり、中心部はもうすっかり海外製。コスト高になるわ、品質管理は大変になるわで正直、困っています。
〜 10kΩ DR−531C/631C 専用マッチングアンプ(不平衡入力−平衡出力) 〜

昔、私が使っていた10kΩのDR−631Cを買い戻したことから、またまたガラクタを集めて作りました。上のものとはある意味対極の「オールドエレガ専用アンプ」です。

はじめはトランスだけ持ってきて、上で作ったアンプに取り付けるトランスボックスとするつもりでしたが、ヘッドホンアンプとトランスが別になるというのは何とも不便、また上で作ったものはS/Nがイマイチ、トランスを付けるとノイズレベルが上がり、10(kΩ)のDR−531/631では聴き辛くなる、同じことは再生機器のモニター出力にトランス直結としても頻繁に起きてしまうということから、結局、新たに作りました。

設計図はやはり私のアタマの中、部品も例によって壊れた家電製品からの流用です。ただ今度の製作品は上のものとは異なり「市販品がない」ため=自作の本領であることから、少し贅沢をして、電源とインピーダンス変換トランス、コード、ヒューズホルダ、3Cジャック、5ピンキャノンコネクタ、ユニバーサル基板、そしてある程度、「見た目」も気にして「格好よく」(?)、ケースも新しいものにしました。

しかし基本的に「使えりゃそれでいい」の、全くガラクタ部品の寄せ集めです。「とにかく小さく」で、一回り小さなケースに少々無理をして詰め込んだため、電源トランスの部分防磁が必要になり「ネコ缶」を流用。何でネコ缶?これは猫好きの私の趣味、意味はありませんが「食品用鉄缶」は最新技術の塊、高品質の鉄と内外共に完璧なコート=絶縁で、よく効き長持ちします。しかも安価=食用後は「タダ」というのが高ポイント。戦後、材料不足を知恵と知恵で補い、進駐軍の捨てた高品質の空き缶を使い、ブリキのおもちゃから電機製品まで作った先輩技術者たちに脱帽であり、自作する人の間では昔からよく知られています。ですが品物ではこれ、間違ってもできません。品物では「格好の問題」から「同程度性能の」高価な防磁鉄板になります。
そもそも10(kΩ)のDR−531/631は、真空管時代の出力回路インピーダンスに合わせ、プレート直結で使用できるようにしてあるというのもありますが、むしろ増幅回路や電話回線などの状態を耳で知るための「測定用モニターヘッドホン」であり、放送用、AとCタイプでは規定−60(dB)のノイズを「明確に弁別再生する」能力を持ち、どこからどのように来ているノイズであるのかまではっきりわかるようにされています。純測定用のBタイプでもこの性能を要求しない、聴力検査機や脳波計などに用いるものには、昔からハイ・インピーダンスモデルは用意されていませんし、放送用のCタイプでもミキシング、すなわち音声制作に用いるものは昔から8(Ω)か50(Ω)の低インピーダンスのものです。すなわち10(kΩ)のハイ・インピーダンスモデルは今のように片手に収まる安価な小型測定機など「未来の夢」、高価、重い、大きい、よって持ち出しなどとんでもないの頃、どうやってドタバタの放送現場で的確にトラブル原因を突き止め、迅速対応するかの課題に応えた知恵の結晶でもあります。従ってこれを「きれいに鳴らす」アンプとするためには、上のものとは異なり、例えばS/Nでは嫌でも80(dB)超えにしないと「ノイズはっきり」で使えません。また普通のローインピーダンス出力ヘッドホンアンプ(理想増幅器に近い、ハイ受けロー出しのもの)とは異なり「ハイ受けハイ出し」、できるだけシンプルな回路としても、少しでもラフに作ると思いもしないところに複雑に電流が回り込み、ノイズレベルが上がって使えなくなってしまいます。具体的に10(kΩ)負荷状態で最小音量時に許される雑音電圧出力レベルは6(mVpp)程度まで、一方、最大音量時は100(Vpp)程度まで要求されます。つまり要求されるS/Nは約85(dB)です。さらに真空管回路から半導体回路になって半世紀以上、今はもうこんなハイ・インピーダンスのメートルオーダーの音声信号伝送はしなくなっており、当然、必要な部品もなくなっています。多くの点で「常識外れ」になるこのアンプ、例によってガラクタの寄せ集め、個人用ではありますが「本気で」作りました。ガラクタの寄せ集めではなく、正規新品部品で作るとなると部品代だけで5万円、工賃合わせて最低でも10万円の、実は「高級機」です。
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3Cプラグ、5ピンキャノンのどちらにも対応させました。これでタイプ A、AS、B、BS、C全対応です。
今はプロの現場でもあまり見かけなくなってしまった3C(110号)プラグ用のジャックですが、現在も「高級品」が残されて生産継続されており、今回、その「T型239号」を選びました。手作り品のため、これだけ=2個で、安価なヘッドホンアンプならば1機、購入できるほどに高価ですが、性能は折り紙つきです。すなわち抜き差しを繰り返すところですから、ここはより耐久性に優れたものにしました。一方、インピーダンス変換トランスは、要はその容量がヘッドホン内蔵のトランスよりも大きければよいことから、高価な業務用のものとはせず、民生、真空管用小型OPTの入出力をひっくり返して使っています。
やはりインピーダンス変換トランスにはインピーダンス変換トランスの組み合わせがよく(と言いますか、100(Vpp)の歪のほとんどない波を作らないといけないというのは小型簡単な回路では至難の業、他に思いつく方法がありません。巷では、ハイ・インピーダンス機を駆動させるために大型スピーカー用アンプを接続しているといった話も聞きますが、ハイ・インピーダンスのDR−531/631は、要は、電流ではなく電圧ですから、果たしてまともに鳴らすことができているのかどうか…。多分「低音抜けまくり」かと。)安価なインピーダンス変換トランスとシンプルな低電圧駆動のいわゆるパワーオペアンプの組み合わせで所要スペックのものが得られました。ハイ・インピーダンス特有の、どうしても最低80(dB)の良好なS/Nにしないといけない課題をクリアした、すなわち主に半導体素子を1個でも少なく組み合わせるかにより熱雑音を限界まで抑えた、また、民生、廉価な真空管用小型OPTと言っても現在生産されている、大昔のラジオ用のものなどとは比較にならない高性能トランスを用いたことから、ハイ・インピーダンス、平衡型の原理的メリットが前面に出た抜群のサウンド、名実共に「測定器」であるエレガヘッドホンの真の再生力を知ることのできるものになりました。正直、これまで10(kΩ)のDR−631Cでここまできれいに音楽を聴くことができたことはありません。再生機器も音源も格段によくなっている証拠です。すなわちDR−531やDR−631のずば抜けた真の再生力が60年を経て、ようやく聴こえるようになったといったところでしょうか。DR−531やDR−631は含まれている倍音成分も「正直・そのままに」再生しますから、特に60(Hz)以下の実にきれいなこと…ほぼ「生音」に聴こえます。
さて、このアンプの回路図です。(IECに従って作られているDR−531/631用です。NABその他の規格に従って作られているDR−531/631には使えません。ただしハイ・インピーダンスのDR−531/631は昔から今のIECに従って作られているものがほとんどですから、大概のものに普通に使うことができると思います。ここの文字をクリックしてご覧下さい。)かなりの方がハイ・インピーダンスのDR−531/631をお持ちのようで、多くのお問い合わせを頂きましたので、急遽、図面にしました。上のものと中心部分は同じですが、より作りやすいように上のものとは少しだけ周辺回路を変えてあります。丁寧に作ればS/N 90(dB)超えになるはずです。とは言え「最低ライン」であり、アンプの雑音はごくわずかですが聞こえますので、より上を望まれる方は別のIC、回路方式をご選択下さい。また回路図にはありませんが、さまざまな実装条件を考えると、386の+電源入力端子直近に加えて220(μF)程度、0.1(μF)程度のコンデンサを入れるのが無難かも知れません。また入力のDCカットが必要であれば、入力端子部分に10(μF)程度のコンデンサを入れます。ただし「1個でも部品を減らし、雑音重畳を抑える。」が鉄則のアナログアンプです。不要であれば入れないに越したことはありません。1(kHz)規定正弦波入力、10(kΩ)ダミーロードで40(V)(実効値)最大出力くらいになるように調整します。上の写真のもので43(V)/2(mV)ですから約87(dB)、合格です。本当はもっとアンプの利得を上げ、70(V)(実効値)最大出力くらいにするのが良いのですが、何せ業務用、汗などでヘッドホンの絶縁が悪くなるなどすると感電してしまいます(最悪、約1(mA)の感電になります。これはIECのAC2(=健康被害はないが電撃を感じるレベル)です。)から、アンプの直線性を担保した上で、実用上ぎりぎりのここまでとします。とにかく強力な電圧出力とする必要があるため、最も小型簡単にするには、いわゆるパワーオペアンプとトランスの組み合わせで「何とかする」くらいしかありません。ということで中心はLM386です。はぁ…あんな古臭い、S/Nの良くないものを…と思われるかも知れませんが、386は当初から「汎用オーディオパワーアンプ」として専用設計されたもの、現在でも総合性能(価格、使いやすさも含めて)でこれ相当、また勝るものは数えるほどしかなく(このタイプの専用ICの需要は限られているため、各社、新しいものをなかなか作らないんです…。)、改良されたローノイズ型がじゃんじゃん音響製品に使われています。(初期の386はS/N 60(dB)ちょっとぐらいでしたが、今のローノイズ型は理想的に実装した場合、90(dB)超えとされています。つまり「古い」は違いませんが、「S/Nが悪い」は、今のものは違いますので使えます。)なるほど、計測機用の「ウルトラローノイズオペアンプ」を使うというのもありますが、この場合、どうしても後段に電流増幅回路(電力段)を組まなければならず、結局はここでS/N悪化、大体、同程度のS/Nになってしまう(計算上、6(dB)違うかどうかといったところです…)、またヘッドホンアンプ専用ICもありますが、当然これはその分、周辺部品の要求レベルが高くコスト高になる(ホント、高いです。業販でも、例えば小さなケミカルコンデンサでも指定のものは1個5000円って…)、しかしケチって周辺部品のレベルを落とすと、音にそれがはっきり出てしまうことから、もう「簡単なほうが良い」で、これにしています。
アンプ製作のポイントはとにかく「接地」であり、接地が悪いと20、30(dB)の「桁違いのレベルでS/N悪化」してしまいますので、まあ、個々のデバイス云々の話にはなりません。特にこのタイプのハイ受けハイ出しアンプの場合、わずか1〜2(Ω)の接地インピーダンス差が出てもアウトになるため、図中に示す太い「接地幹線」を引き、そこに各部品のマイナス(0V)を接続していきます。そして接地幹線は「グランドループ」とならないよう、各トランスの磁力線(ノイズ源)と交差しないように配置します。「アース線蜘蛛の巣」はご法度。実は雷サージ対策もアンプ製作も「全く同じ」です。また386は出力インピーダンスの変動に強いため、OPTは8〜32(Ω):7〜12(kΩ)程度のものであればどれでも使えます。ただし2(W)程度のしっかりしたものを選んで使って下さい。
私は「ヘッドホンアンプはヘッドホンの仕様・性能に合わせたものを用意すればよい=使えりゃいい。」のため、「目的違いのもの」を作らなければならない場合はとにかく、例えば「ヘッドホン設計の骨組みのひとつ」である、不平衡型として設計してあるヘッドホンを平衡型にし、ヘッドホンアンプもそれに合わせてといったことを全く好みません。不平衡型には不平衡型のメリット・デメリットがあり、平衡型には平衡型のメリット・デメリットがある。設計者は徹底的に「ユーザーの使用条件」を考え、ユーザーにとってのメリットが大きくなるようにどちらかを「いちばんはじめに」選択している(今はめちゃくちゃなことを言われるユーザーが多いですが、「モノ作り」はどこまでも「売れるモノ」を作ってナンボの世界。設計者は例えばユーザーが「安価最低限」を求めているのか「廉価でそれなり」を求めているのか、あるいは「高価でも高性能」を求めているのかを「いちばんはじめに」考え、設計の骨組みをします。従って「価格にあわない高性能」ってのは、根本基礎技術革新によるもの以外、ありえません。)わけですから、それに従えばよい。大体、平衡型は回路が複雑になり、部品数も増え、当然その分、高価で故障率も上がりますから、ハイ・インピーダンスのDR−531/631のように、そもそも特殊用途、平衡型にすることによるメリットのほうがデメリットを上回るからそうしてあるものはとにかく、例えば低いインピーダンスの今の汎用ヘッドホンをわざにというのはどうも…であったりもします。実際、8ΩのDR−531/631は不平衡型です。不平衡型でLRのクロストーク云々言われる方もいますが、こんな低いインピーダンス、低電圧、わずか1.5(m)の電力伝送で聴感上解る変化などありません。しかしもしもそれではっきりわかるほどにノイズが減るなんてことがあるのであれば、おそらくあなたの周囲は電磁波被曝許容値を超える強電磁界レベル、これはもう健康への影響が心配されますから、ヘッドホン云々と言っている場合ではないでしょう。まあ、そんな大袈裟な話ではなく、例えば不平衡、低インピーダンス、低電圧、短距離伝送の条件で、はっきりS/Nが悪い、クロストークが無視できないというのは「0V基準がきちんととれていない」=実装上の問題であることがほぼ100%、従って根気よく、どこでゼロ・ボルトがずれているかを調べ、改善することが先でしょう。
帰ってきたDR−631Cと。インピーダンスぴったり、定格最大入力電力の約10倍までの直線出力のため、DR−631内蔵トランスの性能をしっかり引き出し、そもそもの精緻な音に加え、パワフルで正確な低音と、きらびやかで伸びのある、しかし決してちゃらちゃらしない正確な高音が加わっているのが特長。やはりハイ・インピーダンス機はやみつきになります。DR−531/631のデザインに合わせ、外観も「昭和時代中期の質実剛健業務用ヘッドホンアンプ」としてみました。寄せ集め部品によるヘッドホンアンプではありますが、長年の経験より自信あり。永く使えそうです。
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