Forever ELEGA
ヘッドホンあれこれ-17
〜拾いモノ ELEGA DR-631C の修理〜
捨てる、売る…ちょっと待った!
頑丈な発音体と金物。DR-531/631は「一生モノ」です。
もういい加減にしろと自分でも呆れるのですが、オーダー手作り品の良さを知っている分、またしてもゴミ箱に無造作に放り込んであったDR−631Cを拾ってしまいました。

今回は放送局のゴミ箱から。正真正銘のいわゆる「局モノ」です。

その場で少し掃除をして調べてみるとヘッドバンドに問題なし、発音体に大きな衝撃跡もありません。大切に使われてきた機体です。私の経験上、これならば大丈夫なはずです。

早速、一筆書いて譲り受けました。

このDR−631C、発音体がIECで製作されており、専用アンプを用意しなくても、民生用再生機器にそのまま接続して鳴らすことができます。各部検査の結果、思った通り、電気的特性、機械的特性ともにOKです。

実はDR−531、631は材料が理想的であり、きちんと管理、定格を守って使えば、軽く50年の長期使用に耐えます。その間に痛むところはコードとイヤパッド、そしてヘッドバンドの革ですが、「実用品」のこれ、たとえメーカがなくなっても、ユーザー側で「何とでもして」、継続使用できる設計ともされています。
いわゆるブランドモノ、例えば本皮製品などは、実はどれもそもそも「使ってナンボの実用品」、ユーザー側で修理しながら「その人の一生モノとして使える」ようにしてあるところに「本物の価値」があります。日本ではともすれば「富の象徴」などとされますが、ゆえに欧米諸国ではブランドモノを特つのは当たり前であり、例えば子が成人したときに親がブランドモノをプレゼントする、子はその後、すなわち親が亡くなった後もそれを親とのかけがえのない想い出とともに墓穴まで持っていく、また例えば価格2倍でも相当性能のものの2倍を超えて使えればそれでお得になるという考え方によります。ここに技術者、職人のやりがいがあります。そして特に「使い勝手が変わると危ないプロの道具」というものはもう大体、何でもそうで、DR−531、631も日本古来の伝統職人技と現代技術(長寿命化を狙った使い捨て技術)の融合したブランドモノ、密閉した使い捨て部分の発音体が故障するまで、また金物が駄目になるまでユーザ−側で何とでも修理しながら使用できるものとされています。実際、ひとりの音声技術者にとってDR−531、631はその多くが「一生モノ」になります。私も平成も2桁年になってDR−631Cを1機、個人で新調しましたが、これは実は私のためのものではなく、うちの子が欲しがっている、うちの子へのプレゼントとするためのもので、その旨、メーカーに伝えたところ、DR−631の開発者自ら出てこられ、仕様を固めて特別に製作してもらいました。技術者、職人というものは、自らがリタイア、あるいは亡き後も自らが作ったものをお客様に喜んで使い続けてもらう、そしてそれらがいよいよ無くなっても、自らの知識、技能は後世に伝えられるところに自らの「生きる価値」「生きた証」を求め、日々、それこそ死のその日まで切磋琢磨を続けるものなのです。さもなくば技術者、職人として生きている意味すら見出すことができなくなってしまいます。そしてゆえにここは銭金以前の問題なのですが、昨今の日本では度を過ぎたコスト競争もありますが、何よりも「モノの価値」を理解して下さるお客様の減少により、それがどんどんできなくなり、「やっていられない」ことから、「本物をつくる」、技術者、職人がどんどん減っています。業界、業種によりますが、もはや平均して昭和時代の1/10程度とも1/20程度とも言われるほどに減っているのが現実です。
さて今回のものはヘッドバンドの革交換は不要、そのクリーニング、形を整えて給脂乾燥、テンションを規定値に調整した後、配線すればOKです。

100(mW)、低インピーダンス8(Ω)の1.5(m)伝送、プラグ部でLRコールド共通の不平衡です。選んだケーブルは電気工事に使う、ホームセンタ−などでも150(円/m)程度で販売している汎用電力ケ−ブル、4芯のVCTFです。「見た目」を言われるとちょっと…ですが、ハイ・インピ−ダンスモデルと異なり、ステレオ標準プラグ、8(Ω)不平衡機の場合、実はこれで十分。むしろオリジナルのコードよりも機械的に丈夫、また耐化学物質性もろもろもよいため、こちらのほうが優れていたりもします。

結果、いい案配に仕上がりました。なおイヤパッドは私が工夫したもので、631の発音体に装着するとハイレゾ対応です。531は発音体の性能上、対応不可能です。

このようにDR−531/631は「永久部品」である、@発音体が生きている、A金物が生きている、Bイヤパッド保持板が生きているであれば、他は自分で修理しながら永続的に使うことができます。DR−531/631は使ってナンボの一生モノ。ご参考になればと思いながらこれにてペンを置くことにします。
DR−531/631両耳型ヘッドバンドの革がボロボロになってお悩みの方は以下にご相談下さい。新規製作できます。ただし交換はご自分、自己責任で実施下さい。R側のリベット4本を抜くと交換できます。
革研究所広島店さま
DR−531/631のイヤパッドがボロボロになってお悩みの方は以下のぺ−ジをご覧下されば幸いです。ご自分で製作・交換できます。ただし製作・交換はご自分、自己責任で実施下さい。
ELEGA DR-531/631用イヤパッドの検討
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